熱帯雨林再生活動

【会報記事】サラワク植林体験&水環境改善プロジェクト等視察ツアー ―青年海外協力隊OB会「マレーシア会」有志と家族が参加―

※本記事は、本協会の会報「マレーシア」Vol.55(2024年8月31日発行)に掲載されたものです。青年海外協力隊の方々の「マレーシア会」会員である「杉山クルミ」様よりご寄稿いただきました。

 本協会と長年の交流がある、青年海外協力隊としてマレーシアへ派遣されていた方々のOB会「マレーシア会」では、本協会がサラワク州で行う熱帯雨林再生活動へのご協力を頂いたほか、本年六月一三日(金)、一四日(土)、有志とご家族からなる現地訪問をご企画頂きました。 現地訪問プログラムの様子を、同会会員の杉山クルミさんよりご寄稿頂きましたのでご紹介します。

 今回の視察ツアー参加者のほとんどは、マレーシアへ派遣されていた青年海外協力隊OBです。現在、マレーシアへの青年海外協力隊派遣人数は激減しましたが、ひと昔前は西マレーシアだけでも一〇〇人以上の隊員が派遣されていました。日本国内での三か月近くの訓練を経て、各々の任地で約二年、政府派遣ボランティアとして活動しました。

 そう私たちはその昔、ある者は電気や水も事欠く地で活動する青年海外協力隊隊員でした(私はジャングルを伐採・開墾した自然破壊の権現 オイルパームの入植地開発公社が任地)。年月を経て、マレーシアに関心を持ち続けているとしても、マレーシアに対しての何の活動もしていない中高年世代になりましたが、日マ協会の数々のプロジェクトを知る機会を得て「とりあえず視察・体験をしてみたい!」と思い立ち、協会の新井氏に相談させていただき、企画、参加者募集、調整期を経て数か月、今年六月 サラワクへ行ってきました~!

 派遣された職種も時期も年齢も任地も異なる私たちでしたが、クチンのフードコートで初顔合わせをし、翌日から体験と視察をスタート! 先ず訪問させていただいたのは、日マ協会が一九九五年より植林を開始され、長年の活動がサラワク政府に認められ、二〇一六年に国立公園へ昇格し完全保護区となった場所でした。

現地の人たちと植林作業

 プロジェクトに少し寄付をさせて頂いた私たちは、ドリアンの苗木などの果樹を植えさせて頂きました(愛着がわきます、実がなったら収穫に行きたい!)。しかし、慣れない作業は、数本植えるだけでもとても大変で、植林と見守に労力と時間を要する「熱帯雨林再生プロジェクト」は現地の人たちの協力なくしては成り立たないものだと、あらためて実感しました。

ローカルスタッフと一緒に記念撮影

 日マ協会の長年のご努力の結果、今では各地の住民らが植林に関わる作業、育苗や管理を行い、女性たちもそれぞれの家の敷地で苗木を育て、それを協会が買い取るという経済循環にも繋がっているそうです。もちろん植林プロジェクトの事前準備、植林後のメンテナンスもローカルスタッフがおこなっています。さらには次世代を担う近隣の小中学校の生徒らの植林プログラムも実施されており、熱帯雨林再生のための植林活動は環境教育に、地域経済にそして未来につながっていることを知るとこができました。 

 今回は、日マ協会のプロジェクトに長く携わってこられた現地コーディネーターの酒井氏に案内していただいたのですが、酒井氏からは先住民に理解されない初期の困難な日々を経て(木を切って儲けるか、自然を守る活動を儲けにつなげるか)、地道な努力とあきらめないコミュニケーション(もちろんマレー語)を積み重ねたこれまでの歴史をお聞きすることができました。プロジェクトが継続されることで、今は木々が成長し、無計画に伐採され破壊された地だったとは想像ができないほど「森本来の姿」に回復してきているそうです。

活動地域の小学校を訪問

 今回のツアーでは、ほかにも水環境改善プロジェクト・道の駅(!)・苗木センター・セピロックオランウータン保護センター・少数民族のロングハウスや小学校といった日マ協会と関わりのある様々な場所を訪ねることが来ました。

 マレーシアの発展の陰には、ゴムやオイルパーム入植地の確保、あるいは木材の輸出のためジャングルの木々の伐採が行われた歴史があります。それらの木々や、ゴム&オイルパーム製品を何も知らずに使っていた私たちに何ができるか考えた時、日マ協会へ一口七五〇〇円を寄付するという支援の方法もあります。一口で五本の苗木を現地のワーカーさんが植えてくれて、そして成長報告もしてもらえます。それがやがて、ジャングル再生につながり、ゾウやオランウータン、多くの植物や昆虫の住処になるならすばらしいと思いませんか!

 今回のクチン訪問は、我々にとって初の試みでしたが、今後もこのような活動を継続して行い、青春時代を過ごしたマレーシアに恩返しするために何ができるかを考える機会、あるいはそれぞれがマレーシアの現状(自然環境もそして発展も)を身の回りの人たちに伝える活動につなげられればと考えています。

 そして何より、クチンでのこの数日間は、ただただ楽しい、そして実りある時間でした!

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