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【会報記事】マレーシア公務員研修プログラムを都内で実施 ― 昨年に続き、ルック・イースト政策の一環で行われたプログラムに協力 ―

※本記事は、本協会の会報「マレーシア」Vol.56(2025年1月10日発行)に掲載されたものです。

 昨年一一月、二〇二三年度に引き続き、マレーシア政府公務員(連邦政府、州政府等の中間管理職)を対象とした海外研修プログラムを都内で実施しました。本プログラムは、ルック・イースト政策のもと、マレーシア政府人事院より国立マレーシア科学大学人材育成センターが委託を受け、日本で実施した公務員研修プログラムで、本協会は後援団体として実施に協力しました。

 今回は、二週にわたり二グループが来日して都内で研修を行いました。

 第一グループはセランゴール州政府及び国立マレーシア科学大学の中間管理職員三五名、第二グループは連邦政府各省庁とペラ州政府の中間管理職員一九名が参加しました。  公共セクターにおける組織力向上へ向けて、様々な分野の専門家による講演や、行政機関との意見交換を通じて、日本の経験、組織改革の概念や実践方法、行動計画の立案を行うことを目的として、次のプログラムを実施しました。

第一グループ

日程 二〇二四年一一月一〇日(日)~一七日(日)

参加者 セランゴール州政府総務・人事・広報・会計等の部署のほか各地区役所の幹部職員、国立マレーシア科学大学総務・会計・IT担当部署の中間管理職員三五名。

研修一日目(一一月一二日)

都内ホテルの会議室で、講義と研修プログラムの開会式を行いました。

午前八時、主催者を代表してダト・ムサ・アリ国立マレーシア科学大学人材育成センター長が挨拶をし、研修プログラムを開始しました。 その後、「組織改革の概念について」(ダト・オマー・オスマンDRBハイコム自動車大学理事長・副学長)、「日本社会の基礎知識」(新井卓治本協会専務理事)、「日本における自治体改革と課題」(横道清孝政策研究大学院大学名誉教授)の各講演を行い、研修員との質疑応答を行いました。

様々な分野の講演を実施

 一二時半から、ダト・シャフリル・エフェンディ・アブドゥル・ガニー駐日マレーシア大使をお招きし、開会式を開催しました。はじめに小川孝一本協会理事長が主催者側を代表して挨拶し、続いて、ダト・シャフリル大使が来賓挨拶を述べ、二週間にわたる研修プログラムの開始を宣言しました。その後、小川理事長とダト・シャフリル大使にセランゴール州政府及びマレーシア科学大学から記念品が贈呈されました。

ダト・シャフリル大使(左から2人目)を迎えて

 昼食後、午後二時から「日本の経営から学んだこと・戦後の経験と元企業人としての経験から」と題した講演を森林高志本協会理事が行った後、日本文化体験プログラムとして講師を招き、習字体験を行いました。

研修二日目(一一月一三日)

 午前は総務省を訪問し、午前一〇時から、同省行政管理局が取り組む「行政運営イノベーション」についてご説明を頂きました。はじめに、西澤能之企画調整課長にご挨拶を頂き、続いて、山内亮輔副管理官より、日本の行政組織概要と課題、業務や働き方改革の取組みなどについてご説明を頂きました。その後、研修員からの質問に対して熱心にお答え頂き、午前一一時半に終了しました。

総務省にて説明後に質疑応答

 午後は東京都庁を訪問し、二時から、東京都の組織改革の取り組みについてご説明を頂きました。清水在三智政策企画局計画調整部構造改革統括担当課長より、東京都及び都庁の概要、都が進める構造改革「シン・トセイ」で取り組む行政手続のデジタル化、テレワークの推進、オープンデータの活用、スタートアップ企業との協働などについてお話頂きました。また、ワークスタイルイノベーションとして進める未来型オフィス整備に関する説明の後、デジタルサービス局のフロアを訪れ、フリーアドレス導入、打合せスペースや集中ブースなどの設備を視察しました。

東京都庁にて東京都の取り組みについて聞く

 その後、展望室から東京の景色を一望してから、都議会議事堂へ移動し、そこで、河野雄紀東京都議会議員に研修団をお出迎え頂きました。

 今回の都庁訪問は、有村治子本協会副会長と親交のある河野議員に受入れ手続きを行って頂き実現したものです。

 はじめに河野議員から、マレーシアと日本及び東京都との友好親善のために研修団を都庁へお迎えしたこと、自身もかつて下水道技術協力でクアラルンプールを訪問したことがあること、選挙区の板橋区は植物園を通じてペナンと交流していること、今後ともマレーシアとの交流を進めたいとご挨拶を頂き、続いて、研修団から謝辞と記念品の贈呈がありました。  その後、河野議員自ら都議会議場や委員会室などをご案内頂き、都議会の制度などのご説明を頂き、都庁でのプログラムは終了しました。

歓迎の挨拶をする河野都議会議員(右から2人目)

研修三日目(一一月一四日)

 午前九時、第一衆議院議員会館国際会議室を訪問し、研修のまとめと発表及び修了式を行いました。

 研修団長からの説明の後、研修員は六つのグループに分かれて、今回の研修で得たことから、今後自らの部署で止めるべきこと、維持すべきこと、新たに導入すべきことを議論し、模造紙に書き込み、その後、グループごとに全員への説明と質疑応答を行い、今後の行動計画について皆で議論を深めました。

 その後、研修員が組織を横断した人的繋がりを深めるために、修了式で披露するマレーシアの伝統的な踊りの練習を自主的に行いました。

 午後二時、古屋圭司本協会会長を迎えて、修了式を行いました。  

 古屋会長が「昨年に引き続き、日本の首都東京において、マレーシア政府公務員中間管理職員を対象とした海外研修プログラムが開催されましたことを、心よりお慶び申し上げます。本プログラムでは、公共セクターにおける組織力向上へ向けて、専門家による講演や、行政機関との意見交換を通じて、日本の経験を学ぶプログラムを実施されています。 社会の変化が著しい昨今、時代のニーズに合わせた組織改革は、どの国の行政機関においても喫緊の課題となっており、皆様との交流を通じて、我が国も多くのことを学ぶ機会となりました。今後とも、日本とマレーシア両国の友好親善のために、このようなプログラムが行われることを願っております」と挨拶を述べた後、研修員へ古屋会長から修了証が授与されました。

挨拶をする古屋会長
修了式後に記念撮影

 続いて、研修団からの返礼としてマレーシアの伝統的な踊りが披露され、最後に全員で記念写真を撮りました。その後、研修員は国会見学ツアーに参加しました。

第二グループ

日程 二〇二四年一一月一七日(日)~二五日(月)

参加者 連邦政府より首相府、人事院、情報通信省、保健省、住宅・地方自治省、女性・家族・地方開発省、財務省、国内取引・生活費省、農業・食料安全保障省、農園事業・商品省とペラ州政府の中間管理職員一九名。

研修一日目(一一月一九日)

 午前は、都内ホテルの会議室で、「組織改革の概念について」、「日本社会の基礎知識」、「日本の経営から学んだこと・戦後の経験と元企業人としての経験から」の各講演を行い、質疑応答を行いました。 午後は、駐日マレーシア大使館を表敬訪問し、アンワル次席大使、ラズウィン公使参事官、ザヒリ参事官と日マ間の官民交流について質疑応答や意見交換を行いました。

駐日マレーシア大使館を訪問

研修二日目(一一月二〇日)

 都内ホテルの会議室で書道体験を行った後、「日本における地方自治体改革と課題」と「日本の米中との経済関係と安全保障」(飯田敬輔東京大学大学院法学政治学研究科教授)の講演と質疑応答を行いました。

研修三日目(一一月二一日)

 午前は、総務省を訪問し、前週に引き続き、同省行政管理局が取り組む「行政運営イノベーション」についてご説明を頂き、質疑応答を行いました。総務省側から、お互いの取り組みについて、ぜひ共有していきたいとの意向を受け、後日、研修員から寄せられたフィードバックを連絡し、双方向の交流となるように努めました。  

 午後は、東京都庁を訪問し、前週同様に、東京都の組織改革の取り組みについてご説明を頂き、未来型オフィス整備に取り組むデジタルサービス局フロア視察などを行いました。

東京都庁の未来型オフィスの取り組みを視察

 その後、都議会議事堂にて河野都議会議員にお出迎え頂き、都議会議場や委員会室などへのご案内や都議会の制度などのご説明を頂きました。

研修四日目(一一月二二日)

 午前九時から、第一衆議院議員会館国際会議室で研修のまとめと発表及び修了式を行いました。

 研修員によるグループごとの議論と発表により、今後の行動計画について皆で議論を深めました。その後、修了式で披露するマレーシアの伝統的な歌の練習を自主的に行いました。

 午後二時、小川理事長を迎えて、修了式を開催しました。

 研修団長と小川理事長が挨拶をした後、研修員への修了証授与が行われ、研修団からの返礼としてマレーシアの伝統的な歌が披露されました。 全員で記念写真を撮った後、研修員は国会見学ツアーに参加し、本プログラムは無事に終了しました。

修了証授与式

 本協会では、マレーシア側からの依頼に応じて、今度ともルック・イースト政策による都内での公務員研修プログラムへの協力を続けて参ります。

 今回のプログラムにご協力を頂きました関係各位に対し、誌面を借りて、心よりお礼を申し上げます。

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