本協会では、一九九五年より、企業、団体、個人からのご協力を得て、ボルネオ島サラワク州において熱帯雨林再生のための植林活動を行っています。伐採によって劣化した二次林におけるフタバガキ科等在来種の植林を主とした低地熱帯雨林の植生回復と、二〇一七年からはマングローブ植林による湿地林の保全も行っています。
また、二〇一八年からは、マレーシア半島部クダ州においてマングローブ林再生活動を開始し、ボルネオ島と半島部の両地域で熱帯雨林再生活動を展開しています。
マレーシアでは、新型コロナウイルス感染拡大以降、厳しい活動制限令が発令され、多くの社会活動が制限されましたが、植林活動は政府の許可のもと、地域の人々による育苗、植栽木のメンテナンス、植栽作業を継続することができました。
その後、マレーシアでもワクチン接種の進展により、新型コロナウイルス新規感染者数が減少し、全ての規制が解除され、社会・経済活動が通常に戻っています。
本協会では、引き続き、マレーシア政府の方針に従い、健康と安全を第一として活動を続けて参ります。 前号に掲載しました後の活動状況(本年一月から四月まで)についてご報告します。
半島部における活動
●マングローブ林再生プロジェクト
マレーシア半島部クダ州のムルボック保護林と、ペナン州のスンガイ・アチェ保護林において、株式会社木下グループご協力による「木下の森マングローブ林再生プロジェクト」並びにユアサ商事株式会社ご協力による「ユアサ商事の森」プロジェクトを、州政府機関、マレーシア科学大学、地域村落と協働して実施しています。
一月二〇日(月)、ムルボック保護林でマレーシア科学大学の学生と教員、アルブハリ大学(クダ州の私立大学)学生、タスマニア大学(オーストラリア)学生と教員、クダ州森林局員、スンガイ・プタニ地区消防局員、地域住民グループより計八五名が参加し、植林プログラムを実施しました。

二月、スンガイ・アチェ保護林で地域住民グループが、週末を中心にのべ四五人が参加して植林作業を行いました。三月はイスラム教の断食期間のため、地域住民による育苗管理を行いました。

植林活動のほかに、活動地域の教育支援プログラムとして二月二日(日)と三日(月)、ムルボック保護林地域のスンガイ・バトゥ・ブシ村のマングローブ教育ハブにて、地域の小学校から三一名の児童の参加を得て「マングローブ・キャンプ」を実施しました。

二日間、マレーシア科学大学のプロジェクトメンバーがマングローブ林保全を通じた探求型教育として、農村地域の子供達の理科系科目への関心と創造性を高めることを目的としたプログラムを行いました。

子供たちは地上生態系とマングローブ林に関する学習、水質検査実習とマングローブ林が水質浄化に果たす役割の考察、マングローブ林と私達の暮らし関する寸劇づくりと実演などのプログラムに積極的に参加し、多くを学びました。
また、昨年一二月に「ユアサ商事の森」プロジェクトの一環として、町田信也在ペナン日本総領事をお迎えし、活動地域のハジ・オマー・タヒール小学校へ通う生活保護家庭の子供達へ、修学支援として文房具やカバンなどの贈呈式を行いましたが、本年二月の新学年度開始後に、児童全員に支援グッズを配布しました。


本年も、現地協働団体や村落組織などと協力し、植林や地域支援プログラムなどを実施します。