熱帯雨林再生活動

【日本NGO連携無償資金協力・事業報告】2025年4~7月 村落給水システム整備による生活改善と関連機関のネットワーク構築事業

外務省では、日本のNGOによる国際協力は、開発途上国の地域に密着し、住民の支援ニーズにきめ細かく対応する草の根レベルでの支援を行うものとして、日本の国際協力NGOが開発途上国・地域で自主的に企画・実施する国別開発協力方針等の日本のODA政策の内容に沿う経済社会開発事業に対して、政府開発援助資金を供与する「日本NGO連携無償資金協力」を行っています。 本協会は本年三月末より、令和六年度日本NGO連携無償資金協力事業として「サラワク州先住民居住地域における村落給水システム整備による生活改善と関連機関のネットワーク構築事業」を、同州スリアン管区バライ・リンギン小地区のサバル国立公園周辺地域にて実施しています。

事業概要

サラワク州サバル国立公園周辺の先住民居住地域において、脆弱な水環境により生活が困窮している先住民村落の人々の生活改善を目的とし、「村落給水システム」の整備による水環境の改善、水源地保全ための植林、水環境改善によって生じる生活余力を活かした生活向上プログラムと自立的な水環境維持管理、関係機関と協力して農作改善及び環境衛生教育プログラムを実施します。

事業地及び背景

事業地が位置するバライ・リンギン小地区は、面積一三一四㎢(東京二三区の二倍強)、人口一万五一六五人、集落数二二一、人口密度一二人/㎢、貧困率一九・九%、給水状況は水道二三・一%、その他(村落給水)七六・九%で、町から最も遠いサバル国立公園周辺地域は水道がなく、貧困率の高い地域です(資料・サラワク州統計二〇二〇)。サバル国立公園周辺地域(人口約三千人)は、州都クチンから車で約二時間、インドネシア国境付近に位置し、主に先住民族のイバン族の小さな村々が点在しています。 サバル国立公園は、伐採跡地に自生した二次林を州政府が森林再生地に指定した保護林区内にあり、二〇一八年に国立公園へと昇格した森林区です。本協会では、二〇一一年からサラワク州森林局及び森林公社、マレーシア・サラワク大学、地域社会と協働し、同森林区でフタバガキ科等在来種及び在来果樹の植林による熱帯雨林再生活動を実施していますが、村落では水不足が生活を圧迫し、住民から水環境改善への要望が寄せられ、解決すべき課題との一つとなっていました。

事業目標

・先住民族居住地域において、村落給水システムの整備によって水環境が改善され、日常生活に十分な水が得られるようになる。

・飲用水購入費や近隣河川での洗濯等に費やされていた時間が不要となることで生活余力が生じ、農作改善プログラムが行われ生活向上がもたらされる。

・村落給水システムを維持管理するための住民組織が形成され、自立的な活動が継続される。

・州政府機関、地区役所、国立大学、現地NGO、村落組織の連携によるネットワークが構築され、事業成果の共有と他地域へ普及するための体制が形成される。 ・現地NGOと協働し活動地域の小学校で環境・衛生教育プログラムを実施し、地域の未来を担う子供達の森林保全と衛生に対する意識向上による事業成果の定着を図る。

事業内容

当事業では、次の対象地域において以下の活動を実施します。

スンガイ・クラ村(先住民イバン族の村、人口約二八〇人、以下クラ村)、サバル・ジャヤ村(先住民イバン族の村、人口約一二〇人、以下ジャヤ村)合計約四〇〇人。

1 村落給水システムの整備

州政府機関(公共事業省、森林局、森林公社等)への事業説明と対象村落で全体計画について説明後、工事業者及び専門家と現場確認を行い、給水システム整備計画案を作成し、村落組織の同意を得て、作業を開始する。

水源地への作業道整備(一・二㎞)、堰堤の造成(一か所)、水源地から村までの導水パイプ劣化部分の交換・敷設(〇・五㎞)、導水パイプ全体の接続部品交換を行い、水環境を改善する。

その後、対象村落で給水システム自主管理組織を形成し、水源管理ワークショップを開催する。

水源機能保全のために、水源地周辺と作業道において、現地NGO専門家の指導のもと、植林(フタバガキ科等在来種など三千本)とメンテナンスを実施する。

2 村落調査及び農作改善プログラム

給水システム整備前後の対象村落における水環境及び生活余力の変化について聞き取り調査を行い、その結果に基づいて農作改善と生活改善プログラムを作成する。

対象村落で農作改善プログラムの導入について協議し、同意を得た上で農作改善プログラムを開始する。

3 環境・衛生教育プログラム 対象村落の子供達が通う地域の小学校(二校)において、村落給水システム整備と水源地保全の必要性について説明し、理解を深めるための環境教育プログラムを実施する。また、環境教育プログラム時に、手洗い、うがい、歯磨き等の保健衛生研修を実施する。

事業地域の状況

マレーシアにおける新型コロナウィルス感染拡大後の政府の標準作業手順(SOP)に沿って活動を実施しています。  本年四月から七月までの進捗状況をご報告します。

最近の主な活動

●村落給水システムの整備

 四月上旬、サラワク州政府機関(公共事業局、森林局、森林公社、水道局、鉱物・地学局)及び地区役所へ事業実施予定内容の説明を行いました。

四月二三日(土)、専門家、工事業者、村落委員による村落給水システム整備のための現状調査を実施しました。

水源地までの作業道整備箇所の現状、水源地からの既設導水パイプ劣化部分の位置と状況、堰堤を造成する水源地の現状について確認しました。また、対象村落世帯における導水状況を関係者と共に行いました。

同時に、対象村落で水質検査も行い、水源地の水は煮沸すれば飲用水として利用可能であることが確認できました。給水システム整備後にあらためて調査し、浮遊物の量などの変化を確認します。

その後、工事業者及び専門家と給水システム整備計画を作成し、村落発委員会の確認と同意を経て、村落給水システム整備作業を開始しました。

五月初旬から、サバル国立公園内にある村の水源地に堰堤造成用資材を運搬するために、旧伐採道跡を利用した作業道(一・二㎞)整備を開始しました。

国立公園内を管轄するサラワク州森林公社の指導に従い、作業道周辺の二次林への影響を最低限に抑えて、給水システム整備後は森に戻すことを前提に、現地専門家と協力して作業を進め、五月中旬から整備した作業道を利用して堰堤造成用資材を搬入しました。

雨天の合間に資材の運搬や堰堤工事用重機の搬入を進め、六月初旬から水源地で堰堤造成工事を開始しました。同月中旬から基礎部分と鉄筋による堰堤部分の組み立てを行いました。

その後、好天日にコンクリートを打設し、七月初旬に堰堤が完成しました。

堰堤完成後、七月中旬より、水源地から対象村落までの導水パイプ一・二㎞の内、劣化部分の交換・敷設(〇・五㎞)作業を行っています。その後、導水パイプ全体の接続部品交換によって給水システム全体の機能を改善し、九月末までに対象村落全世帯への導水を完了させる予定です。

今後の活動予定

●給水システム自主管理組織形成

 村落給水システム整備完了後、クラ村とジャヤ村で、給水システムの自主管理組織を形成し、維持管理作業と修繕費積立により必要な支出を行う体制づくりに取り組みます。

●水源機能保全のための植林

 今年末から来年一月に、水源地周辺の水源機能保全のために、フタバガキ科等在来種の苗木三千本の植林作業を行います。

●水環境改善後の村落調査と

農作改善プログラムの実施

村落給水システム整備が完了後、関係機関や現地NGOの専門家と共に、対象村落の水環境及び生活余力の変化について調査を行い、その結果に基づいて農作改善を作成します、その後、対象村落の同意のもとで農作改善プログラムを開始します。

●環境・衛生教育プログラム 現地NGOと協働し、対象村落の子供達が通う地域の小学校(二校)で環境及び衛生教育プログラムを実施します。 

関連記事

TOP